2020年6月7日日曜日

2020 佐久支部 定期総会

 5月15日(金)佐久教育会館において、佐久支部の定期総会が行われました。今年度は、新型コロナ感染防止のため、学校から代表者1名(評議員)に参加いただくという形をとり、なんとか行うことができました。ほぼ全ての職場が出席して下さり、短縮開催の中でも貴重な発言をしていただけました。発言して下さった先生方の具体的な言葉を聞くと、ますます力を合わせていく必要があると改めて実感しました。

近藤 執行委員長あいさつ
総会参加の皆さん、本日はお忙しい中、佐久支部定期総会にお集まりいただきありがとうございます。また、本日この場に集うことができなかった方も含めすべての組合員の皆さんに、総会に先立ちまして一言ご挨拶申し上げます。まず初めに、新型コロナウイルス感染拡大防止のための臨時休校が続く中、子どもたちの学習権を保障し学びを止めないとりくみや、子どものメンタル面への配慮、様々な計画の変更、校内の感染予防対策等々、日々心を砕いてご奮闘されている仲間の皆さんに、心より敬意を表します。
 また、このような状況の中にもかかわらず、総会の規模・時間を大幅に縮小しながらも、皆さんの多大なるご協力により、ここに本定期総会が開催できますことに厚く御礼申し上げます。

 さて、2020年2月27日(木)の夕刻、安倍首相が突然、3月2日(月)から春休みまでの全国一斉の休校要請を発表しました。それを受けて、長野県教委が県立学校の休校を決め、佐久地域各市町村も、ほぼ要請に沿った形の休校措置をとりました。命を守ることが最優先とはいえ、全国一斉休校の根拠も曖昧なまま、子どもや保護者、教職員など学校の当事者の意見が聞かれることもなく、政治から独立しているはずの教育委員会によって政治に追従する判断が下されました。これにより、1年間のまとめの大切な学びの場が奪われてしまったことは、憲法に保障される「教育を受ける権利」の視点からも問題を指摘する声が上がっています。
 1989年に国連で採択された子どもの権利条約12条では、「子どもに関わるすべてのことについて、子どもは自分の意見を自由に表し、きちんと聴かれる権利を持っている」とうたっています。今、コロナ禍のなかで、子どもたちの学びの場をどう保障するかが大きな課題となっています。政府、自治体は、子どもの声をよく聴き、権利条約の視点をコロナ対策に取り入れ、すべての子どもたちの多様な育ち・学びを保障し、格差を生まない対策をとるべきです。そしていま大切なのは、私たち教職員も受け身でいるのではなく、日常を奪われた子どもたちの想いを受け止め、子どもたちの育ちや教育を守るために、声を上げ、行動していくことではないでしょうか。どの子もかけがえのない存在です。危機にあるいまこそ憲法や子どもの権利条約を生かし、子どもたちの「教育を受ける権利」「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を保障するとりくみを強めていきましょう。

 憲法記念日である5月3日、安倍首相は「緊急事態条項の新設」や「憲法9条に自衛隊を明記する」事にふれ、コロナ禍に乗じて改憲論議をすすめようとする動きを強めています。しかし、NHKの世論調査では、改憲論議を今すすめるべきかについて、「憲法以外の問題に優先して取り組むべきだ」が78%にのぼり、国民はこの時期の改憲を望んでいないことは明らかです。今政府がやるべきは、憲法を変えることではなく、日本国憲法が掲げる人権条項(個人の尊厳、生存権、勤労権、教育権など)を生かし、命と生活を守る政治を行うことです。日本国憲法前文「この憲法が国民に保障する自由及び権利は国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」の意味を改めてかみしめ、子どもたちに平和な未来を手渡すために、憲法を守り生かすとりくみがますます重要になっています。

 昨年12月、学校現場に「1年単位の変形労働時間制」を持ち込むことのできる「給特法の一部を改正する法律案」が成立させられてしまいました。本来の超過勤務を覆い隠し、労働時間のつじつま合わせをするような制度の導入では、学校現場の恒常的な忙しさは改善できないばかりか、教職員の命と健康を脅かす危険をはらんでいます。教職員の労働環境は、子どもにとっての学習環境に直結する問題です。今求められるのは、「教育の質の保証」という観点からの「教職員定数増」や「教育政策の見直し」等、抜本的な改革です。今後、県や市町村で「1年単位の変形労働時間制」導入のための条例を制定させないとりくみが必要です。

 長野県教職員組合は、教職員の身分保障や待遇改善はもちろん、学校の教育環境の改善や平和な未来をつくる活動等を、みんなの力を合わせてすすめてきています。佐久支部は、県下に先駆けて自主自立の組合をめざし、教育行政当局や管理職とも対等・平等の関係をつくり、「組合員のための組合」という原点をいつも意識して運動をすすめてきました。今年度もこれまでの基本姿勢を大切に活動していきます。また、一致できる要求では、他団体や市民と幅広く手をつないで活動していきます。この間、佐久では「自主自立の伝統を生かしながら、教育の課題では力を合わせる」ことを積み重ね、校長会や教育会の皆さん、全佐久PTA連合会の皆さんとも協力して現場の改善にとりくんでいます。地域の平和運動や民主的な運動にも積極的に参加し、連帯の輪を広げてきました。執行部一同、「あって良かった組合」「いざという時に頼りになる組合」「子どもたちと教職員の笑顔輝く学校づくりのために奮闘する組合」をつくるために精一杯努力していきたいと思います。

 今の情勢は、私たち教職員に、どのような生き方をするのかをつきつけています。私たちは目の前の教育に責任を負うことはもちろんですが、教育に携わる者として、子どもたちに平和な未来を手渡す責務があります。困難な中にあって、組合に加入していることは、教育職員としての良心の証であり、憲法の精神を具体化する生き方に他なりません。みなさん、長野県教組の組合員であることに誇りをもって、ご一緒に力を合わせていきましょう。
 なお短い時間ではありますが、具体的な課題はこのあとの「運動の総括」および「運動方針」で提起いたします。皆さんの活発な論議を経て、本年度の運動の方向を決定していただくことを最後にお願い申し上げて、あいさつとさせていただきます。一年間、どうぞよろしくお願いいたします。

佐久支部 定期総会 総会宣言